司法書士法人オネスト 押田健児の備忘録

平成21年10月独立開業、平成24年10月法人化しました司法書士のブログです。東京都千代田区(神保町、小川町、淡路町、御茶ノ水、竹橋)で司法書士やってます。

自分の知識の整理・蓄積を主な目的とし、日々の出来事や雑感もたまに書いてみたいなと思っています!

租税特別措置法第84条の5の改正に伴う登記の取扱い

租税特別措置法第84条の5の改正により、所有権保存登記の申請をオンラインで行った場合の登録免許税の特別控除が、平成2211日以降は(現実には14日受付以降)、表題登記もオンラインで申請されたものに限られることとなります。


◎登記の取扱い
 

①完全オンライン申請の場合(添付情報も全てオンラインの場合)

→「その他事項」欄に表題登記の受付年月日・受付番号を入力し、表題登記の登記完了証(PDFファイル)を他の添付情報とともに提供する。

 登記完了証には、申請人又は申請代理人の電子署名は不要。

 

②『特例方式』によるオンライン申請の場合(添付書類を持参・送付する場合)

→原則①と同様の取扱いによるが、登記完了証を出力した書面を他の添付書類とともに登記所に持参又は送付により提出することも可能。「原本に相違ない」旨の記載は不要。

持参又は送付の場合は、不動産登記規則別記第13号様式の「書面により提出した添付情報の表示」欄に「登記完了証」と記載する。

 

③表題登記がオンラインにより申請されたものかどうか不明な場合

→原則として本人又は代理人(土地家屋調査士等)に直接確認し、表題登記の登記完了証ならびに受付年月日及び受付番号の情報の提供を受ける。

 

基準日後株主への議決権付与

株式会社JSCが、定時総会に関する基準日後の合併により株式を取得する株主に対して、定時総会にかかる議決権を付与する旨のリリースを出しています(H21.11.30付)。
3月31日決算(基準日)、4/1合併、6月定時総会であり、4/1に合併により存続会社株式を取得した株主も定時総会において議決権を行使できる旨を定めるものです。

基準日が株主総会における議決権に関するものである場合には、基準日後に株式を取得した者の全部又は一部が議決権を行使することができる旨を定めることができます。但し、基準日における株主の権利を害することはできません(会社法124条4項)。

手続上は吸収合併であるものの、実質は対等の合併であり、議決権を付与することが、本合併の趣旨に合致し、公平に資するものであるという判断によるものです。

また、株主総会開催予定時に最も近い時点での、全株主の意思を株主総会に反映させることができる株主総会を開催したいとの判断に基づき基準日後株主に議決権行使を認めた事例などもあります。

【条文】
第百二十四条  株式会社は、一定の日(以下この章において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(以下この条において「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる。
 (略)
 (略) 
 基準日株主が行使することができる権利が株主総会又は種類株主総会における議決権である場合には、株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を当該権利を行使することができる者と定めることができる。ただし、当該株式の基準日株主の権利を害することができない。
 (略)


【判例】最判平21.11.27 無断転貸と背信行為

◎要旨

1 賃借人が借地上の建物の建て替えに当たり新築建物を賃借人とその妻子の共有とすることにつき賃貸人から承諾を得ていた場合において、賃借人が自らは新築建物の共有者とはならず妻子の共有とすることを容認して借地を無断転貸したことにつき、賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるとされた

2 賃借人が、借地上の建物の共有者である賃借人の子がその妻に離婚に伴う財産分与としてその持分を譲渡することを容認して借地を無断転貸したことにつき、賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるとされた

一日バタバタ

今日は不動産取引の決済を3本ハシゴという予定で、不測の事態が起きないかどうか少々どきどきしてましたが、何とか一日終えることができました。

事務所の他の司法書士も決済が入っており動けず、ついに補助者1号(嫁)を投入です。
こんなときのために補助者登録をしておいて良かったです。
法務局への申請や雑用的なことをお願いしましたが、頑張ってくれました。

とにかくバタバタでしたが一日無事に終わりました。
次は年末へ向けて頑張らねば。

農地法の改正

平成21年12月に農地法等の一部を改正する法律が施行されますが、司法書士として今後注意が必要な点は、相続等によって農地を取得した場合に農業委員会に届出が必要となる点でしょう。
必要な場合は、ちゃんとお伝えすべきところかと思います。

 

従来、相続等により農地を取得した者の把握が十分ではなく、放棄地や遊休化している農地を利用したくても地主の許可を得ることができないなどの問題があったところ、相続等によって農地を取得した者に農業委員会への届出を義務づけ、権利取得者が利用できない場合には農業委員会が所有権の移転や賃借のあっせんなどを行うことができるようになります。

 

◎届出を要する者=農地法の許可を要さずに農地の権利を取得した者

→相続、遺産分割、時効取得、法人の合併・分割など

 

◎届出を受けた農業委員会は、農地の適正かつ効率的な図られないおそれがある認めるときは、届出をした者に対して農地の所有権の移転または使用収益をする権利(賃借権等)の設定や移転のあっせん等の措置を行うことができます。


農林水産省HP 

http://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/kaikaku/

 

「すごろく農地改革」なんてものまで・・・

http://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/kaikaku/pdf/sugoroku.pdf

 


(農地又は採草放牧地についての権利取得の届出)

第三条の三 農地又は採草放牧地について第三条第一項本文に掲げる権利を取得した者は、同項の許可を受けてこれらの権利を取得した場合、同項各号(第十二号及び第十六号を除く。)のいずれかに該当する場合その他農林水産省令で定める場合を除き、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その農地又は採草放牧地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。

農業委員会は、前項の規定による届出があつた場合において、その農地又は採草放牧地の適正かつ効率的な利用が図られないおそれがあると認めるときは、当該届出をした者に対し、当該農地又は採草放牧地についての所有権の移転又は使用及び収益を目的とする権利の設定若しくは移転のあつせんその他の必要な措置を講ずるものとする。

プロフィール

司法書士 押田健児

平成14年に司法書士試験に合格し、複数の事務所勤務を経て、平成21年10月1日に九段下に司法書士事務所を開業しました。平成24年10月に神田錦町に事務所移転、法人化。NPO法人相続アドバイザー協議会認定会員。
昭和54年長野県生まれ、東京都町田市育ち。
幼稚園から中学校までレスリング道場に通い、高校大学ではレスリング部に所属。
日本大学藤沢高校卒業。
法政大学法学部法律学科卒業、一部体育会レスリング部所属(スポーツ推薦入学でした)。
平成27年4月より、町田市体育協会評議員
【保有資格など】
司法書士 行政書士 宅地建物取引主任者 測量士補 NPO法人相続アドバイザー協議会認定会員 上級救命技能認定

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