先月のニュースになりますが、読売新聞に「登記情報の暴露はプライバシーの侵害 管理会社へ賠償命令」という記事がありました。


マンション管理会社の社員が居宅の登記情報の内容を他の住民に知らせたのはプライバシーの侵害であるとして男性が損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は不法行為にあたるとして同社側に
10万円の賠償を命じたとのこと。

マンションの管理組合の理事を務める男性は、同社のマンション修繕計画に反対していたところ、同社社員が男性の居宅の登記情報を入手して仮差押がついていることを知り、マンションのロビーで男性に「差押問題を早く解決しな」と発言したり、他の理事に配ったりしたようです。

同社側は「登記情報は誰でも取得でき、プライバシー保護の対象にならない」と主張したものの、東京地裁は「仮差押は他人に知られたくない事実で、保護の対象になる」と指摘。同社のプライバシー侵害を認め、社員の発言は名誉毀損に当たるとしたそうです。


登記簿は公表されていて、手数料を払えば誰でも確認できるわけですが、だからといってその具体的内容をみだりに公開することはやはりプライバシーの侵害になるわけです。

話は異なりますが、思い出した話があります。

以前勤めていた事務所で登記完了後の権利証と一緒に登記簿謄本を送付したお客さんから苦情の電話がありました。

建売分譲住宅の買主様で、私道の持分を何区画かで共有していたのですが、私道の登記簿謄本を見ての苦情です。その登記簿謄本を見ると、他の区画の方がいくらのローンを組んでいるか、自分がいくらのローンを組んでいるかが一覧のようにわかってしまいます(金融機関の設定する担保の登記に債権額が登記されています)。そのことについて、プライバシーの侵害だ、個人情報なのに、ということでした。

その事務所の前に勤めていた事務所では、このような場合には、その人の持分に関する部分だけのもの(抄本・一部事項証明書)を取得してお渡ししていました。誰でも見ることができる内容であるとはいえ、送られてきた書類で全部が見えてしまうのは心情として気持ち悪いだろうと。自分から法務局へ取りにいったときに全部見えてしまうのは、まぁ仕方ないこととしても。当時、超新人の私は、あぁそうか、なるほどなと思いました。

そんなこともあったので、先の苦情が入った際に、前に勤めていた事務所ではこうしてましたよということを当時の上司に言ってみたわけです。そしたら、「だったら現金で買えばいい。ローンなんか組まなければいい。」「登記簿は誰でも見ることができるものなんだから、見れて当たり前」と言われてしまいました。

そうなのかもしれないけど・・・、そういう話をしているんじゃなくて・・・と思ったのを覚えています。

オンラインによる謄本請求の場合も、持分の指定ができるようになると費用的にも助かりますが、難しいかもしれませんね。所有者の名前で指定した場合に、「髙」と「高」が違うとエラーになったりしますかね。

法人登記の代表者事項証明書取得の際に複数代表者がいる場合の代表者名での指定がありますが、あれは自動なのでしょうか?手動?