ソーラーパネルの設置を目的とする地上権設定登記を行いたいというご依頼を、年明けから年度末にかけて多くいただきました。

地上権とは、工作物又は竹木を所有するために他人の土地を使用する権利のことです。
ソーラーパネル(を含む発電設備)も工作物にあたるものと考えられますので、この所有を目的とする地上権設定登記も行うことができます。

地上権設定登記の登記事項に「地上権設定の目的」がありますが、これは「工作物の所有」といったような記載ではなく、具体的な工作物名を登記すべきとされています(多数説?)。
先例では「ゴルフ場所有」とか「スキー場所有」といったものも認められています。
今回は、「太陽光発電設備の所有」を地上権設定の目的として登記を行いました。

他にご依頼いただいた案件の中でちょっと検討した点としては、「地代又はその支払時期の定めがあるときはその定め」が登記事項となっているところ、地代が全期間分を一括払いであった点についてです。
当初色々と記載例を見ていると、地代については「1平方メートル1年○円」や「1月○円」、支払時期については「毎年○月○日」や「毎月○日」というものばかりで、どうやって登記したらよいのか悩んでしまいましたが、「Q&A権利に関する登記の実務V第3編用益権に関する登記(上)」(日本加除出版)に記載がありました。
地代の支払時期について「一時払い」や「前払い」とすることもできるとの記載がありました。
ということで、地代としては全期間分の金額を「金○○万円」と登記、支払時期については設定前に一括前払いを行ったものについては「全額前払い済み」とし、設定時に一括払いを行ったものについては「全額一時払い済み」として登記を行いました。
(その後、某地方法務局から「設定時〇年分全額前払い」の記載としてほしいとの連絡があり、現在はこの記載としています。)

あとは、太陽光発電設備の設置に伴う借入もあることがほとんどですが、土地自体には大した価値がないことが多く、担保設定も行わないことが多かったというのが普段の取引とは変わった点だったかなと思います。


※H29.2.1追記
その後、金融機関によって、土地とパネルに工場抵当権を設定するケース、パネルに動産譲渡登記(動産譲渡担保)を行うケース、電力会社への売電債権に債権譲渡登記(債権譲渡担保)を行うケース、地上権に抵当権を設定するケース、地上権自体に譲渡担保権を設定するケース(譲渡担保を原因とする地上権移転登記)など色々なものがありました。

司法書士法人オネスト 司法書士 押田健児
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