司法書士法人オネスト 押田健児の備忘録

平成21年10月独立開業、平成24年10月法人化しました司法書士のブログです。東京都千代田区(神保町、小川町、淡路町、御茶ノ水、竹橋)で司法書士やってます。

自分の知識の整理・蓄積を主な目的とし、日々の出来事や雑感もたまに書いてみたいなと思っています!

代理人により遺産分割協議を行った場合の登記手続

弁護士の方から自身が相続人の代理人として関与した遺産分割協議に関する登記手続のご依頼がありました。
遺産分割協議書には、弁護士の方が代理人として署名と捺印を行っています。

遺産分割協議は相続人から委任を受けた代理人が行うこともできます。
この場合、遺産分割協議書に代理人が署名(記名)や捺印を行うことになります。
弁護士の方から遺産分割協議書を確認させていただきますと、事務所住所が記載され、弁護士の職印で捺印されていました。
ここは個人実印での捺印が必要となりますので、横に個人の実印での捺印を追加していただきます。そして、個人の印鑑証明書を添付することとなります(有効期限の定めはありません)。また、住所は個人の住所を追記していただきました。

上記に加えて、相続人から代理人に対する委任状も添付する必要があります。
こちらに当該相続人の実印を捺印し、印鑑証明書を添付することとなります(有効期限の定めはありません)。

あとは一般的な相続登記手続の必要書類と変わりありません。

◎参考先例
昭和33年4月25日民事甲第1379号民事局長心得回答
遺産分割協議を委任代理人に行わせ、その協議書を添付して登記の申請があった場合、受理してさしつかえない。この協議書に代理権限を証する書面のほか、署名押印した代理人の印鑑証明書も添付すべき。

供託に関する変わった相談があったことを思い出したので

10年ほど前のことですが、この記事(供託番号の調査、供託金の還付請求)を読んだという方から供託番号を調査してもらえないかというご相談がありました。

いつの時期かも何の供託金であるかもわからないけど供託番号を調べたいとおっしゃいます。
時期もわからないと難しいなぁと思いつつお話をうかがいますと、
・会計事務所の職員であるという者から、亡くなった夫宛の供託金があることを知らされた
・その供託番号を彼らは知っている
・一緒に供託所に出向いてその場で供託番号を教えるので、還付された金額から何割か(確か半分)を手数料として支払ってほしい
・連絡が来ているのは会計事務所の職員二名、相手の固定電話番号を聞いていてこちらからかけることもある
ということでした。

連絡をとっている電話番号をうかがってネットで検索してみますと、ある税理士事務所のHPがヒットします。税理士会の登録を見てみますと、事務所自体は実在のもののようです。
経緯はわかりませんが、顧問先企業が供託者であるなど何らかの事情により還付請求が行われていない供託に関する供託番号を知った職員の悪巧みではないかと思いました。
「所長宛に電話をして、事務所として行っていることかどうか聞いてみてください」とお話ししておきました。
その後、特に連絡はありませんので、無事解決したものと思っています。


海外在住者等の登記識別情報失念等の場合の事前通知を代理人宛に行ってもらう方法④

不動産の管理処分権を授権された代理人が、その授権を公正証書等権限を有する官憲の作成した証書により証明した場合は、当該代理人宛に事前通知を行ってもらいたい旨の申出を行うことにより、当該代理人へ事前通知を行ってもらうことができます。
この申出書には当該代理人が日本人の場合は実印を捺印し、印鑑証明書を添付する必要があります(昭和41年11月24日民事三発第1129号民事局第三課長電報回答)。

昭和41年11月24日民事三発第1129号民事局第三課長電報回答
「登記義務者が外国に住所を有しているため法第44条ノ2の規定による申出を3週間以内にする事ができない場合、その不動産の処分等の一切の権限を授権された代理人が存し、その授権を証明しその代理人が自己あてに同条第1項の通知をされたい旨の上申書があれば登記官はその代理人に通知をしてさしつかえない旨通達されていますが、右代理人が日本人の場合は、その上申書に印鑑証明書の添付を要し、かつ法第44条ノ2第2項の申出書に押した代理人の印鑑と、右上申書の印鑑とは、符合していることを要する」

今回、代理人は個人としての私ですので、申出書を作成して私が実印を捺印し、個人の印鑑証明書を添付します。
登記申請後しばらくすると本人限定受取郵便の受取通知が自宅に届きますので、郵便局に事前通知書を受け取りに向かいます。
受け取った事前通知書に実印を捺印して法務局へ送付し、完了となりました。

「海外在住者等の登記識別情報失念等の場合の事前通知を代理人宛に行ってもらう方法」の記事はこれまで同業者からの問い合わせが多い記事で、問い合わせの度に知り得る限りのことはお伝えしています。
うまくできたのか、そうでなかったのか教えてくださいとお願いするのですが、昨年初めてうまくできたと報告をしていただいた方がいました(逆に言えば、その後まったく連絡をいただけない方々ばかりであったわけですが)。その方からはその際に使用した書式も参考に提供していただき、今回の案件の実施にあたりとても助かりました。本当に感謝しています。
その方は、登記申請代理人である司法書士法人自身を管理処分権の授権を受けた代理人とされていました。

海外在住者等の登記識別情報失念等の場合の事前通知を代理人宛に行ってもらう方法③

今回、外国人売主の方の印鑑証明書に代わる書類としてサイン証明書も取得していただく必要がありました。また、登記簿上の住所から現住所へ住所を変更されていましたので、この住所変更の経緯についても証明書を取得していただく必要がありました。
これらは、原則として国籍を有する国の官憲の証明である必要があります。
今回はイタリア国在住英国人というケースでしたので、居住国であるイタリア国官憲ではなく、国籍を有する英国官憲の証明である必要があるため、「不動産の管理処分権の授権に関する委任状」の認証手続とあわせて在イタリア英国領事館に依頼していただくように依頼しました。

念のため全て英文ドラフトを作成して渡してあり、在イタリア英国領事館に行っていただければ特に問題ないものと思っていたのですが、ここで問題が発生。
新型コロナウィルスの影響により、在イタリア英国領事館が上記のような証明書の発給窓口を閉鎖してしまい、再開の見込みも不明という状況になってしまいました(2020年のこと)。
コロナ禍の中、わざわざ本国等へ移動し証明書を取得しに行くということは困難な状況であり、本国官憲の証明書を取得するのは現時点では不可能との判断になりました。

そこで、下記通達等は商業法人登記に関するものではありますが、商業法人登記に限らず不動産登記においても同じ趣旨であり、下記通達の第3及び下記依命通知1(2)にあたるものとして居住国であるイタリア国官憲の証明書によることができるものと考え、管轄法務局へ確認。
結果、居住国であるイタリア国官憲の証明書でよいとの回答を得ることができました。

【法務省】商業・法人登記関係の主な通達等 3外国人・海外居住者による登記申請に関する通達

◎平成28年6月28日民商第100号通達(改正)平成29年2月10日民商第15号通達
登記の申請書に押印すべき者が外国人であり,その者の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付することができない場合等の取扱いについて(PDF)
第3「外国人の本国の法制上の理由等のやむを得ない事情から,当該署名が本人のものであることの本国官憲の作成した証明書を取得することができないときは,その旨の登記の申請書に押印すべき者の作成した上申書及び当該署名が本人のものであることの日本の公証人又は当該外国人が現に居住している国の官憲の作成した証明書の添付をもって,市町村長の作成した印鑑証明書の添付に代えることができる。」

◎平成29年2月10日民商第16号依命通知
「登記の申請書に押印すべき者が外国人であり,その者の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付することができない場合等の取扱いについて」の一部改正について(PDF)
1(2)「当該外国人の本国においては署名が本人のものであることの証明書の取得が可能であるが,当該外国人が居住している本国以外の国等に所在する当該外国人の本国官憲では署名が本人のものであることの証明書を取得することができない場合」

また、上記依命通知1(2)のとおり「当該外国人が居住している本国以外の国等に所在する当該外国人の本国官憲に確認したところ,署名が本人のものであることの証明書を発行していない旨の回答があった旨」を記載した上申書の用意を追加でお願いしました。

イタリアの公証人から裁判所の認証も受けるように指示があったとのことで、双方の認証を受けていただき、公証人と裁判所の認証付の署名証明書兼住所変更証明書及び不動産管理処分権の授権書を含めた書類一式を日本へ送付していただくことができ、売主側に用意していただく書類がそろいました。


海外在住者等の登記識別情報失念等の場合の事前通知を代理人宛に行ってもらう方法②

以前記事にしました海外在住者等の登記識別情報失念等の場合の事前通知を代理人宛に行ってもらう方法を実際に取り扱う場面がありました。

別荘地の取引だったのですが、所有者であるイタリア在住のイギリス人の方が登記済権利証を紛失しているとのことで、この方法をとって事前通知を私宛に送ってもらうことで取引を進めることができました。

取引を進めるに際してまずはWeb会議で打ち合わせをしましたところ、イタリアの郵便はただでさえ信用性が低いうえに新型コロナウィルスの影響でさらに遅配が生じているため期限内の申出は困難であること、新型コロナウィルスの蔓延する状況では取引のために訪日することもできないとのことでした。
直接面談ができないので、本人確認情報による対応もできません。
そこで、事前通知を日本国内の代理人に行っていただきましょうとなりまして、日本国内で何かと所有者のために動いている方にお願いしようと思ったのですが、関係当事者の皆様の強い依頼で私が事前通知を受けることになりました。

以前の記事にも記載したものですが、以下の通達等を参考に準備を進めます。
◎昭和35年6月16日民事甲第1411号民事局長通達
[要旨]
登記義務者が外国等遠隔の地に住所を有しているため、不動産登記法44条ノ2の規定による申出を3週間内にすることができない場合において、その不動産の管理処分等の権限を授権された代理人が存し、かつ、その授権を公正証書等権限ある官憲の作成にかかる証書によって証明できるときは、その代理人が自己あてに44条ノ2第1項の規定による通知をしてもらいたい旨の申出があるときに限り、その代理人に通知して差し支えない
◎[登記研究692質疑応答7815]
「事前通知について・・・外国に住所を有する登記義務者が・・・四週間の申出期間内に申出をすることができない場合において、その登記義務者から申請に係る不動産の管理処分等一切の権限を授与された代理人が、その授権を公正証書等権限を有する官署の作成した証書により証明してその代理人あてに事前通知をしてもらいたいとの申出をしたときは、これに応じてもらえる」

日本から「不動産の管理処分権の授権に関する委任状(英文)」をイタリアの居住地に送付し、在イタリア英国領事館にて認証してもらうようにお願いしました。
単に事前通知を代理で受け取ることの授権ではなく、不動産自体の管理処分等に関する一切の権限を授権してもらう内容とします。
授権内容として記載したのは以下の内容です。
・不動産の管理及び処分に関する一切の件
・不動産登記法第23条第1項による通知に対して委任者に代わり申出をすること
・上記の履行のために必要な行為又は附帯する一切の行為をとること

また、登記原因証明情報、登記申請の委任状なども同封します。

プロフィール

司法書士 押田健児

平成14年に司法書士試験に合格し、複数の事務所勤務を経て、平成21年10月1日に九段下に司法書士事務所を開業しました。平成24年10月に神田錦町に事務所移転、法人化。NPO法人相続アドバイザー協議会認定会員。
昭和54年長野県生まれ、東京都町田市育ち。
幼稚園から中学校までレスリング道場に通い、高校大学ではレスリング部に所属。
日本大学藤沢高校卒業。
法政大学法学部法律学科卒業、一部体育会レスリング部所属(スポーツ推薦入学でした)。
平成27年4月より、町田市体育協会評議員
【保有資格など】
司法書士 行政書士 宅地建物取引主任者 測量士補 NPO法人相続アドバイザー協議会認定会員 上級救命技能認定

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