以前記事にしました海外在住者等の登記識別情報失念等の場合の事前通知を代理人宛に行ってもらう方法を実際に取り扱う場面がありました。
(※当事者との関係や経緯などはだいぶ省略しています。)
別荘地の取引だったのですが、所有者であるイタリア在住のイギリス人の方が登記済権利証を紛失しているとのことで、この方法をとって事前通知を私宛に送ってもらうことで取引を進めることができました。
取引を進めるに際してまずはWeb会議で打ち合わせをしましたところ、イタリアの郵便はただでさえ信用性が低いうえに新型コロナウィルスの影響でさらに遅配が生じているため期限内の申出は困難であること、新型コロナウィルスの蔓延する状況では取引のために訪日することもできないとのことでした。
直接面談ができないので、本人確認情報による対応もできません。
直接面談ができないので、本人確認情報による対応もできません。
そこで、事前通知を日本国内の代理人に行っていただきましょうとなりまして、日本国内で何かと所有者のために動いている方にお願いしようと思ったのですが、関係当事者の皆様の強い依頼で私が事前通知を受けることになりました。
以前の記事にも記載したものですが、以下の通達等を参考に準備を進めます。
◎昭和35年6月16日民事甲第1411号民事局長通達
[要旨]
登記義務者が外国等遠隔の地に住所を有しているため、不動産登記法44条ノ2の規定による申出を3週間内にすることができない場合において、その不動産の管理処分等の権限を授権された代理人が存し、かつ、その授権を公正証書等権限ある官憲の作成にかかる証書によって証明できるときは、その代理人が自己あてに44条ノ2第1項の規定による通知をしてもらいたい旨の申出があるときに限り、その代理人に通知して差し支えない
◎[登記研究692質疑応答7815]
「事前通知について・・・外国に住所を有する登記義務者が・・・四週間の申出期間内に申出をすることができない場合において、その登記義務者から申請に係る不動産の管理処分等一切の権限を授与された代理人が、その授権を公正証書等権限を有する官署の作成した証書により証明してその代理人あてに事前通知をしてもらいたいとの申出をしたときは、これに応じてもらえる」
日本から「不動産の管理処分権の授権に関する委任状(英文)」をイタリアの居住地に送付し、在イタリア英国領事館にて認証してもらうようにお願いしました。
単に事前通知を代理で受け取ることの授権ではなく、不動産自体の管理処分等に関する一切の権限を授権してもらう内容とします。
授権内容として記載したのは以下の内容です。
・不動産の管理及び処分に関する一切の件
・不動産登記法第23条第1項による通知に対して委任者に代わり申出をすること
・上記の履行のために必要な行為又は附帯する一切の行為をとること
授権内容として記載したのは以下の内容です。
・不動産の管理及び処分に関する一切の件
・不動産登記法第23条第1項による通知に対して委任者に代わり申出をすること
・上記の履行のために必要な行為又は附帯する一切の行為をとること
また、登記原因証明情報、登記申請の委任状なども同封します。
海外在住者の事前通知について、何週間だったかなと検索して、偶然先生の記事を拝見しました。
早速、代理人宛の方法について本職に報告し、関係者と協議してもらいます。
先生、どうも有難うございました。